ウッドショックの影響が大きすぎる件
新型コロナウィルスの影響が現在木材の価格にまで及び、木材が手に入らない、木材自体があっても高額になっているなどの状況に陥っています。これが住宅関連のみならず様々な業界で「ウッドショック」と呼ばれています。
何故コロナウイルスだけでも大変なこの時期に、まるで連動するかのような状況になってしまったのでしょうか。
新型コロナウィルスで停滞した海外の経済が徐々に回復してきました。
昨年は控える傾向にあった海外の、特にアメリカの郊外で住宅を建てる需要が高まっています。
それに伴って木材の価格が上昇しました。
価格が高くても国内でも需要はあるので、輸出している暇はありません。
世界的にコンテナ船が不足しています。
その原因はかなり複雑になっているようです。
1.米中貿易摩擦の影響でコンテナメーカーが生産を落としていた
2.新型コロナウィルスの影響で更に生産を落とす
3.コロナ禍の中、物を運ぶ需要だけが急増
4.早期に工場生産を回復させた中国から、巣ごもり需要のあるアメリカへの荷物の運搬が増加
5.アメリカで、新型コロナの感染や検疫の徹底で人手不足
6.コンテナの動線が他の地域に回らなくなる
7.海外運賃が高騰した
といった流れの中で、日本は高くても木材を買う国に負けました。
購入できたとしてもコンテナを用意することができず、輸入木材を手に入れることが難しくなりました。
「国産の木材を使えばいいじゃない。輸入するより短期間で輸送できるし!」
そう思っていた時期もありました。
しかしそう簡単ではなかったのです。
以前より輸入木材に頼っていた日本は、
国産木材を供給する仕組みを減らしてしまっていました。
輸入木材を安く買えるから国産より輸入物を使う
↓
国産木材の需要が減るから供給量を絞る
↓
供給量を絞るので、林業や製材工場等が減ってくる
↓
林業が下火になる
この流れの中で国産木材の流通は輸入木材に押されてしまっていました。
「じゃぁ、また国産木材の流通量を上げればいいじゃない」
一度下火になってしまった林業を含む第一次産業は就労者の減少や、場所(機会)も減ってしまい、そう簡単に流通量を上げることはできなくなってしまっているのが日本の現状です。
これらの要因が一気に重なってしまい、世界的なウッドショックに見舞われている最中なのです。
木材が手に入らないと、建築業界では戸建が建ちません。
もちろん、マンション等は木材以外の素材を使用しますので影響は少ないとは思いますが、それでも日本は戸建を建てる人、建替える人もまだまだ多い状況です。
木材が手に入るまで気長に待てる人もいますが、どうしても期限がある方もいらっしゃいます。
例えば
「今は賃貸に住んでいる。新築が完成したら引っ越す予定だが、一向に家が完成しない。」
この場合、家が完成するまで家賃などを払い続けなければなりません。
2021年10月で新築完成予定だったが、ウッドショックで半年以上延期になってしまった。
2021年11月には今の賃貸の更新時期が来る…
更新の時期が来たら更新料が発生して…
でもその半年後には新しい家が完成する予定…
なんてことも。
リフォームでもリノベーションでも、木材は使用されています。
木材が手に入らないから、和室からフローリングの洋室に変更できない。
またはランクを落として妥協するしかない。
そんなことにもなりかねません。
また、建築業界だけの問題ではなさそうです。
家具でも木材で出来ているものがあります。
木目が美しいテーブルやフレームに木材を使ったソファーなどを、色調を合わせたフローリングに配置すると、それだけでもう統一感のあるスペースに見えます。
楽器にも影響が出ているという情報もあります。
ギターやベースも、最初は1枚の板から彫ったり切ったり接着したりの様々な手を加え出来上がっています。
そんな楽器も、木材が値上がりしたので材料確保が難しくなり、値段も上がってきているそうです。
そしてここへ来て、国内大手の大和ハウス工業・積水ハウスが木造住宅の値上げに踏み切ったとのニュースが出ました。
※2021年6月18日 日本経済新聞より
アメリカでは木材相場が落ち着きつつあるようですが、水準は現在も高いところを保ったまま世界情勢は動いています。
これにより、まだまだ家を建てる(建て替える)、リフォームやリノベーションに至るまで、予算の高騰、または着工の遅れが生じる可能性があります。
このウッドショック、いつまで続くのでしょうか。
数ヶ月で納まるという方もいれば、そんなに急に変わったりはしないので年単位になるという方も。
コロナ禍が収まるにつれ、海外での需要も落ち着き、輸入の制限も緩やかになるであろう、という見方があるようです。
残念ながら一工務店レベルで解決できるお話ではありませんが、新型コロナウイルスの影響ということで、一時的なものだと思われます。
ウッドショックが落ち着くまで少し現状を把握しつつ、様子を見つつ、どれだけ影響を抑えられるか等を踏まえて乗り切っていきましょう!